スクライド ALTERATION TAO 感想

10年前テレビアニメとして放送された、谷口悟朗監督作品の映画化。前後編となっており、前編「TAO」では、テレビアニメの前半クールを描いている。
物質を原子レベルまで分解して再構成する力「アルター能力」を持つ者たちが、ロストグラウンドで懸命に生きていく物語である。TAOとは道の意味。ストーリーの随所で自分の進む道について語る場面が見られる。
10数話を100分に詰め込んでいるので、正直駆け足な印象は否めないが、作品の持つ熱気、有無を言わせない迫力が、観客を作品へと引き込み、クライマックスの別れと戦いまで、一気に雪崩れ込んでいく。テレビアニメがリアルタイムな世代としては、懐かしいことこの上ない。一方で、美しい映像へリファインされたカズマたちの勇姿に、技術の進歩を感じざるを得なかった。
主人公カズマとライバル劉鳳が相対して罵り合いながら激突するシーンというのは、「コードギアス」のルルーシュとスザクでも、すごく似たような場面が見られた。こういう場面を見ると「あーやっぱり谷口作品だなー」と思わずにはいられない。
後編では、白鳥哲の名を世に知らしめたと言っては過言ではない強烈キャラ、無常矜恃が全面的に登場してくる。是非後編も見たい作品だ。