東京国立博物館 特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」 感想

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浄土宗と浄土真宗の開祖である法然親鸞にスポットを当てた合同展。今年は法然上人八百回忌・親鸞聖人七百五十回忌という節目の年に当たり、宗派の各寺院が総力を挙げて大々的に協力しています。

とにかく展示形式が面白いです。法然親鸞両者の対比を重視し、部屋の両側にそれぞれのゆかりの作品を配置するという構図。さらに、法然は緑・親鸞は青で色分けして展示されており、どちらのゆかりの品か、一目で分かるようになっています。
展示は4部構成になっているのですが、まず第1章で法然親鸞の生い立ち・思想を、歴史の教科書にも載っている「選択本願念仏集」「教行信証」といった重要な宗教資料と共に説明してくれます。浄土教の思想についての説明もなされており、非常に親切と言えるのではないでしょうか。
第2章では巻物形式の絵伝が多く展示しています。しかも、珍しいことに巻物は1点1点、かなり長い部分を展示しています。長い展示ケースがひたすら並ぶというのはなかなか壮観です。
第3章では法然親鸞に関係のある人々にまつわる作品を展示。なかでも阿弥陀如来立像は、46000人分の姓名を記載した願文が内部に収められていたという品。浄土思想に救いを求めた人々がいかに多かったかを知ることができます。あとは、比較的高僧の像が多かったですね。
第4章では、浄土宗・浄土真宗に伝わる数々の宝物・美術品を展示しています。中でも国宝「早来迎」は、山からもの凄い勢いで下ってくる来迎の場面を描いた絵。スピード感、躍動感溢れる様はまさに圧巻。仏画でありながらこれほどの勢いがあるものはそうそうないと思います。展示の一番最後にこれを持ってくるのも、なかなか粋と言えます。


浄土真宗が仏像崇拝をあまり是としないこともあって、仏像の展示はあまりなく、比較的渋い展覧会だとは思います。とは言うものの、展示形式の特異さもさることながら、二人の宗教家にスポットを当て、対比させるのは面白かったです。初心者にも分かりやすい展覧会と言えましょう。