キーワード削除投票システム案について

はてなから、キーワードの削除について改革案が提示されています。そして、その是非をはてなアンケートでユーザーに提案しています。
http://www.hatena.ne.jp/1088423881
拝読しましたが…ひどい案です。これでは、「誰かが削除予定に移す」というトリガーが加わっただけで、キーワードモデレーションシステムによって削除するかどうか決めるのと何ら変わりません。言い換えれば、議論という過程を経ずにいきなり評議会に議題を送ることと同義です。キーワード削除にまつわるトラブルを減らしたいという気持ちは分かりますが、これでは逆に余計なトラブルを増やすだけな気がします。
以下に反対理由を述べますが、激しく長文なので、読む気の起こらない人のために要約すると、前半は「削除方法を改定する前にやることがありはしないか」という主張で、後半は「仮に削除投票を導入するとした場合の、今回の案の問題点について」論じています。

まずガイドラインの改定をすべき
そもそも、キーワード作成・削除の基準に関するガイドラインが機能していない現状で、削除の方法を変更することは、非常に問題だと考えます。キーワードモデレーションシステムが導入されましたが、ガイドラインについては、システム変更に見合った改定が行われていません。ガイドラインが効力を失ってしまったことによって、ユーザー間での削除基準の目安が失われた結果、起こってしまったトラブルもちらほら見受けられるようです。まずガイドラインの改定を行い、それでも問題が発生するようであれば、削除方法の変更を考えるということでも決して遅くはないと思います。
先にキーワードモデレーションシステムによる状況変化を調査すべき
次に、キーワードモデレーションシステム導入によって、削除に関するトラブルは確実に減少しましたように思います。なぜなら、各ユーザーが「あるキーワードをノイズと感じるレベル」をコントロールすることによって、「ノイズだから(気に入らないから)」という理由による削除が減ったからです。このような状況で、今あえて削除方法を変更する必要性を私は感じません。むしろしばらくの間、キーワードモデレーションシステムによる状況の変化を見守る方が得策だと考えます。
改めてキーワードの意義について検討すべき
また、はてなによってキーワードの存在意義として「キーワードによる繋がり」と「辞書・百科事典的側面」の二点が示されました。名詞制限・しなもんルールが撤廃された結果、キーワードの登録できる幅は広がりました。しかし、形容詞語幹(「喜ん」など)といった、今まで登録できなかったトラブルを生むキーワードも登録されてしまうようになりました。このような事実から考えると、削除方法の変更を検討する前に、改めてキーワードの意義について検討すべきではないでしょうか。

仮にこれが導入されるとしても、現在の案には問題点が多すぎます。

議論がないままの投票は問題
第一に、誰かが削除予定に移した瞬間に投票が始まるということは、削除に関する議論が尽くされないまま、一週間後には結論が出てしまうことになります。議論なく結論が出るということは、円満に解決しようとする動きさえも封じてしまうことになります。(削除に抗議したら、いきなりはてなダイアリー評議会に送られてしまった、ということを考えてみて下さい)
マイナーなキーワードに対する投票の有効性
第二に、現在のスコア投票を見ると、キーワードによって投票数に大きなばらつきがあります。言及の多いキーワードは投票数が多いですが、あまり言及されないキーワードはほとんど投票されません。この状態で、言及の少ないキーワードが削除に回されたとして、ユーザーはキーワードの有用性を正しく判断できるでしょうか。多くの人がそのキーワードについてよく知らないまま投票し、そして削除されてしまう恐れがあります。単なる人気投票になる恐れもあります。
設定した期間・数値基準のアンバランスさ
第三に、今回の案に設定された期間や投票による削除の数値基準がアンバランスな印象を受けます。投票によって存続が決定すると半年プロテクトされるのに、投票期間が1週間しかないのは、非常にバランスを欠きます。投票期間については実際にやってみないと分かりませんが、半年の存続プロテクトは、議論という過程を経る評議会と同じと言うのは少し長すぎる気がします。また過半数の得票で削除されてしまうのは、削除者側に対してあまりに有利すぎるのではないでしょうか。
キーワード削除テロへの対応
第四に、キーワードが気に入らないのではなく、登録者やそのキーワードの種類が嫌いな場合に、気にいらない種類のキーワードを大量に削除に回すということが起こりえます。(例えば、チャンコロの削除に関連して、2ch関連キーワードが大量に削除に回されることが起こりました)投票で削除の可否が決定されるようになれば、削除者は存続を望む人々と議論をしなくてすむため、逆に「気に入らないから」という理由での安易な削除が増える可能性があります。このような場合も投票で全て処理してしまうのでしょうか。
操作ミスに対する削除への対応
第五に、重複登録など明らかな操作ミスに対する削除にも適用するのでしょうか。このようなタイプの削除には投票という手順を踏む必要はないと感じます。またもし投票が行われて存続となってしまった場合、半年は削除不可能となるので、不適切なキーワード重複登録状態が長く続くことになってしまいます。

以上の理由で、私はキーワード削除投票システム案に反対します。>id:hatenadiaryさま


最後に。私には、キーワードの存続を目的としているのか、削除の促進を目的としているのか、はてなの方向性というのが見えてこないのです。キーワードモデレーションシステムの導入したかと思えば、削除方法を変更しようとする。はてなの方々はキーワードシステムをどのようにしたいのかが分からなくなりました。今回の案は、多数決主義の名のもとに、キーワードシステムの管理を放棄したがっているようにさえ見えてしまうのです(決してそんなことはないと信じていますが)