映画「桜田門外ノ変」感想

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少し前に、映画「桜田門外ノ変」を見てきました。
大老井伊直弼襲撃の指揮を執った水戸藩士関鉄之介の半生を追う形で、桜田門外ノ変前後の、激動する幕末の時代を描いた作品です。
実はもっと長い感想を用意していたのですが、途中で消えてしまったので、残念ながらショートバージョンでご勘弁下さい。


小説原作の映画化と言うことで、小説っぽい展開です。ドキュメンタリーっぽいとも言えます。非常に丁寧に描いてはいるのですが、時代が二転三転してシーンが目まぐるしく変わるせいで、ストーリーが理解しづらく、また感情移入もしにくいという結果になってしまっています。桜田門外ノ変は、戦国時代や幕末とは違い、登場人物がマイナーだということを考えて作るべきだと思うのですが、ある程度説明はなされていたものの、やはり誰が誰だか分からないこともあり、いまいち分かりづらかったです。
井伊直弼襲撃のシーンは、雪が降りしきる中、泥臭く血生臭い「決死の襲撃」を描いています。同時期に公開された「十三人の刺客」ともまた違った、様式美など何もないぐしゃぐしゃの戦いを味わうことができます。この襲撃は迫力があります。ただ、この襲撃シーンを前半にもってきてしまったせいで、後半は比較的盛り上がりに欠ける逃亡劇となってしまいました。
小説のストーリーを忠実に再現しようという方針は理解できますが、それも度が過ぎると逆効果です。特に、物語後半で襲撃参加者が次々と捕まり、お白州で裁きを受けていくのですが、7人が引っ立てられる様をノーカットで流すのは流石にやり過ぎです。残念ながら、ちょっと白けてしまいました。

桜田門外ノ変という事件を深掘りしたという点では画期的な作品ですが、映画としてはちょっと厳しいな、と言わざるを得ない作品でした。