空海と密教美術展 感想

東京国立博物館で開催されている、「空海密教美術展」。会期も終了が迫ってきたので、見に行くことにしました。三連休の最終日、会期末期の夕方に行ったのですが、それなりに人は入っていました。入館まで待ち時間10分と言った所でしょうか。

感想

空海密教をテーマにしているだけあって、出品物は当然ながら東寺金剛峯寺のものが多いです。また、書の大家として知られた空海の書跡も追うことができるようになっています。
とは言うものの、出品物に書物が多いと、どうしても人が滞留します。しかも「これが空海の筆跡!」などと煽るもん(ちょっと誇張あり)ですから、人だかりができるのも仕方がない。前半に大量に書物を持ってきていますが、ここでかなりの体力を消耗してしまいました。
次に並ぶのは独鈷杵、五鈷杵、錫杖頭と言った、法具仏具の類。すべてガラスケースに収められているのはいいのですが、四方から見えるタイプのケースなのに何故か壁際に置いてあって前方からしか見えません。置き方がちょっとまずいんではないですかね。
その後に、密教の教えを端的に表した両界曼荼羅が出てきます。私が見たのは金剛峯寺の血曼荼羅曼荼羅には胎蔵界金剛界の二つの曼荼羅があるのですが、それぞれ現実世界と精神世界を表している、などという説明はあまりなく、とりあえず見ておけという感じが否めない。
後半は、仏画・仏像が大量に展示されていました。西大寺十二天画像や神護寺虚空蔵菩薩像、醍醐寺薬師如来・両脇侍像、仁和寺阿弥陀如来・両脇侍像など、普通ならそれぞれ拝観料を取られてもおかしくないレベルの作品が一堂に会するという異常事態。すごいのはすごいのですが、ここまで一回で突っ込んじゃっていいのかなという感じもしました。
最後に控えるのは東寺の仏像曼荼羅の一部の再現したエリア。東寺の講堂には21体の仏像で立体曼荼羅が構成されているが、本展ではそのうち8体を出品して再現しています。通常近くに行って見ることはできないので、8体だけとはいえ四方からじっくりと鑑賞できるのは良かったです。また、段を高くした展望スペースのような所を設け、仏像曼荼羅を一望できるようにしていたのも好感がもてました。

全体を通して

全体を通してみると、国宝・重要文化財が多すぎて、どれから見ればいいのかという感じはしました。無論贅沢な悩みと言えばそれまでなのですが、本来信仰の対象となるべき仏像をこれでもかと並べられると、お腹いっぱいな印象も若干受けます。人もとても多く、非常に混雑していたので、なかなか落ち着いて見れないというのもありましたし…。
また、展示の構成にはちょっと難があったかなとも思います。立体曼荼羅の再現は良かったと思いますが、そのせいで他の展示が圧迫されてしまったのかも知れません。出品されている品々はどれも第一級、というかほとんど全部国宝や重文だっただけに、構成の微妙さがいろいろ気になってしまいました。