ファイナルファンタジーXIII サウンドトラック 感想

http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/fabula/ff13/
浜渦正志が初のナンバリングFFの曲を担当。当初は主題歌のみ植松伸夫が作る予定だったのだが、途中で降板。結局主題歌も含めて彼が作ることになった。
私はサガフロンティア2で彼の曲に初めて触れたのだが、個人的には、彼の作る曲は「空気感が美しい」という印象がある。シーンや風景によくマッチしていて、場を引き立てる曲は、文句なしに良いと思う。ただし、逆に言うと「印象に残らない」。これまで彼が作ってきた曲を聴いてみても、いわゆる「キャッチー」な、インパクト重視の曲は苦手なような気がしていた。
映画やアニメの劇伴なら、主たる映像を邪魔しないことは褒められるべきことなのだが、ゲーム音楽では、逆に一度聞いただけで耳に残るような曲がある方が、プレーヤーへのプレイ後の充実度が高いことが往々にしてある。そういう意味では、浜渦氏はゲーム音楽の作曲家としてはあまり向いてないのではないかなと思っていた。


今回のFF13では、新しい浜渦ワールドを見せてくれるか、と期待していたのだが、彼の全力、全力以上が見れたような気がする。とても面白いものができたのではないだろうか。
通常バトル曲の「閃光」は、彼自身が公式サイトで「かなり計算して作った」と述べているように、かなりノリの良いスピード感溢れる曲に仕上がっている。通常戦闘曲は、RPGでも最もよく聴く、最も重要な曲であるが、バトル画面とも調和が取れていて、非常にしっくりきた。FF13という作品を象徴するような、良い曲だと思う。伊藤賢治のように変態的なバトル曲を量産する人に比べたら、その数は少ないかも知れないが、こういうインパクト重視の曲を、頑張って作ってくれるというのは、非常に評価できる。
声楽曲は、今までの作品ではラスボス級の戦闘(FF7片翼の天使FF10のOtherworldなど)でしか使われていなかったのだが、今作回はフィールド曲などでも普通に使われていた。この選択は今回一番の当たりだったように思う。「サンレス水郷」のさわやかな旋律などは、フランシス・マヤの美しい歌声と相まって、まさに浜渦正志面目躍如といったところ。
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団によるオーケストラ曲も注目すべきである。バルトアンデルス戦の曲である「宿命の抗い」は、因縁ある敵との戦いをうまく描いており、迫力があった。バルトアンデルスとは3回戦うことになるので、プレーヤーにも強く印象がのこることだろう。ただ私の中では、メガ幸子のバトル曲*1になっているが(笑)


上に挙げた曲の他にも、収録曲はバラエティに富んでいる。関戸剛によるギターアレンジがなされた「スノウのテーマ」は、FF10-2を思わせる。植松伸夫の名曲をアレンジした「パルスdeチョコボ」はノリが良くて、チョコボに乗る楽しさを教えてくれる。また「スーリヤ湖」のように、空気感を大切にした曲も数多い。聴き応えのある85曲が揃っていると言える。たとえサウンドトラック単独で聴いても十分楽しめると言っても、過言ではないだろう。


ちなみに、上に挙げた公式サイトで、浜渦正志による全曲コメントを読むことができる。それは歓迎すべきなのだが、1000円も高い初回版を出すのであれば、封入特典ライナーノーツとして入れておいて欲しかった。少し心残りである。

ファイナルファンタジーXIII オリジナル・サウンドトラック

ファイナルファンタジーXIII オリジナル・サウンドトラック